「デューデリジェンス」ってわかりにくいですよね。
デューデリジェンスには、人権デューデリジェンスのほか、M&A(合併と買収)やIPO(新規株式公開)などに際して行われる財務デューデリジェンスや労務デューデリジェンスもあります。
デューデリジェンスという言葉の意味が腹落ちしないと、これらの言葉についてもやもや感はぬぐえません。
というわけで、今回は「デューデリジェンス」という言葉の意味を私なりに分析して、「こうではないか?」と思うところをお伝えする回としたいと思います。
まずは短くまとめます
こんな感じです。
①デューディリジェンス=due diligence
②due = 当然の
③diligence=必要最低限の注意を払うこと
①②③より、
④デューデリジェンス = 当然かつ必要最低限の注意を払うこと
では、以下で詳しく見ます。
①デューデリジェンス=due diligence
デューデリジェンスは、英語の due diligence をカタカナ表記しただけのもの。これでは意味がよくわかりません。
辞書を引いて、due diligenceをきちんと訳してみます。
②due =当然の
dueはわかりやすいです。
辞書を引くと、due には「当然の」「正当な」「適切な」という意味があります。due diligence のdueはこのうち「当然の」という意味でとらえておくといいです。
③diligence = 必要最低限の注意
問題は diligence です。
一般的な英和辞典で調べると「勤勉、不断の[継続的な]努力、熱心さ、骨折り、精励、精勤」となることが多いです。
すると、due diligence =当然の「勤勉、不断の[継続的な]努力、熱心さ、骨折り、精励、精勤」です。
これでも意味は何となく分かりますが、diligence の意味をもう少し掘り下げて「必要とされた度合いの注意を払うこと」ととらえると、さらにわかりやすくなります。
diligenceとは・意味・使い方・読み方・例文英ナビ
- 勤勉
conscientiousness in paying proper attention to a task; giving the degree of care required in a given situation.
任務に適切な注意を払って精励すること。特定の状況の中で必要とされた度合いの注意を払うこと。
「必要とされた度合いの注意=必要最低限の注意」ですから、私としては diligence = 必要最低限の注意と考えています。
④デューデリジェンス=当然かつ必要最低限の注意を払うこと
①デューディリジェンス=due diligence
②due = 当然の
③diligence=必要最低限の注意を払うこと
①②③より、デューデリジェンスとは「当然かつ必要最低限の注意を払うこと」です。
法的観点での「必要最低限」
そしてここでの「当然かつ必要最低限の注意」は、法的観点から決まることになります。
「当然かつ必要最低限」のことを実行しないと法的責任を問われかねない…そういった事柄についてデューデリジェンスが求められることになります。
デューデリジェンスを行うには、「当然かつ必要最低限の注意」の具体的水準を見極め、それらを適切に実行しなければなりません。
様々なデューデリジェンス
デューデリジェンスには様々なものがありますが、企業経営上問題になるものは、人権デューデリジェンス、労務デューデリジェンス、財務デューデリジェンスなどです。
それぞれ、人権、労務、財務に関して当然かつ必要最低限の注意を払うことを意味になります。
それぞれについて、当然かつ必要最低限の注意は何なのか、これを具体的に把握することが、取り組みの第一歩になります。
人権デューデリジェンスについていえば、「当然かつ必要最低限の注意」は、ビジネスと人権に関する指導原則で規定されています。
当事務所では、労務デューデリジェンス、人権デューデリジェンスの推進について、サポートを行っています。