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JASTI 5-3-4 遵守の証拠

JASTI 5-3-4 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-3-4 原文

工場は、倉庫の棚の荷物を、十分に出し入れできる状態にしなくてはなら ない。手の届かない場所に荷物がある場合、踏み台、リフト等が備わって いなければならない。

達成すべきコミットメント

「私たちは、倉庫の棚の荷物を十分に出し入れできる状態にし、手の届かない場所に荷物がある場合は、踏み台、リフト等を備えます。」

補足説明:法的根拠

労働安全衛生規則 第526条:高さ1.5mを超える場所での作業には、安全な昇降設備の設置が義務付けられています。

同 第518条:高さ2m以上で墜落の危険がある場合は、安定した作業床(足場など)の設置が必要です。

同 第36条、法第61条:フォークリフト等の運転には、特別教育や技能講習の修了が義務付けられています。

コミットメント達成の意義

倉庫における墜落・転落災害や荷物の落下事故を防止し、労働者の安全を確保することは極めて重要です。適切な昇降設備を備え、安全な作業環境を維持することは、労働災害の防止、生産性の向上、そして企業の安全文化の醸成に直接繋がります。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. リスクアセスメント

高所作業や荷役作業の危険性を事前に特定・評価し、対策を講じます。

遵守を示す証拠 (例):
  • 高所作業に関するリスクアセスメントの実施記録。
  • 荷物の落下、作業者の墜落等のリスク評価と管理策の文書。
  • フォークリフト作業計画書。

2. 昇降設備の整備と管理

作業に適した安全な昇降設備をいつでも使えるように備えます。

遵守を示す証拠 (例):
  • 踏み台、脚立、リフト、フォークリフト等の設備リスト(管理台帳)。
  • 設備の仕様書、取扱説明書。
  • 設備が適切に配置・保管されていることを示す写真。

3. 設備の点検と保守

全ての昇降設備が常に安全な状態に維持されていることを保証します。

遵守を示す証拠 (例):
  • フォークリフト等の特定自主検査記録票。
  • 脚立や踏み台の始業前(日常)点検チェックリスト。
  • 不具合発見時の修繕記録。

4. 安全作業手順書 (SOP)

安全な作業方法を明確に定め、全作業員がルールを理解し実践できるようにします。

遵守を示す証拠 (例):
  • 各昇降設備(脚立、リフト等)の安全な使用手順書。
  • 高所での荷物の出し入れに関する作業標準。
  • 手順書の周知・教育記録。

5. 教育訓練と資格

作業員が安全に作業を行うために必要な知識・技能・資格を有することを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 高所作業に関する安全衛生教育の実施記録。
  • フォークリフト運転の特別教育・技能講習の修了証(写し)。
  • 資格者リスト、力量管理表。

6. 保護具の着用管理

墜落制止用器具など、作業に必要な保護具を適切に管理・使用します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 保護具着用管理責任者の選任書。
  • 墜落制止用器具等の管理台帳、点検記録。
  • 保護具の使用に関する教育記録。
  • 作業員が適切に保護具を使用している写真。

7. 倉庫内の整理整頓

荷物や通路を整理し、安全で効率的な作業環境を維持します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 5S活動や安全パトロールの実施記録。
  • 整理整頓された棚や、確保された通路幅を示す写真。
  • 荷物の安定した保管状況(荷崩れ防止措置)を示す写真。

8. 労使による改善活動

現場の声を反映し、継続的に安全性を向上させる仕組みを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会で高所作業の安全性を議題とした議事録。
  • ヒヤリハット報告や従業員からの改善提案と、それに対する対応記録。
  • 内部監査報告書と是正措置の記録。

統合的管理による安全文化の醸成

高所作業の安全確保は、単一の対策では実現できません。本インフォグラフィックで示した各要素を、リスクアセスメントを基軸としたPDCAサイクルで継続的に管理・改善していくことが、労働災害を未然に防ぎ、信頼される安全文化を築くための鍵となります。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ

JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

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