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JASTI 5-4-5 遵守の証拠

JASTI 5-4-5 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-4-5 原文

梯子は、工場所在地の法令に従い、手すりや転落防止の背かご等を用いるなど、安全に設置しなければならない。

達成すべきコミットメント

「私たちは、事業場所在地の法令に従い、手すりや転落防止の背かご等を用いるなど、梯子を安全に設置します。」

補足説明:法的根拠

労働安全衛生規則 第526条:高さ1.5mを超える場所での作業には、安全な昇降設備の設置が義務付けられています。

同 第527条(移動はしご):構造、損傷の有無、幅30cm以上、滑り止め装置、適切な設置角度(75度推奨)など、詳細な安全要件を定めています。

同 第556条(固定はしご):堅固な構造、踏子の間隔、転落防止のための背かご等の設置に関する要件を定めています。

コミットメント達成の意義

はしごからの墜落・転落は、重篤な労働災害の主要な原因の一つです。安全なはしごを適切に設置・管理することは、労働者の生命を守り、安全な作業環境を確保するための基本的な責務です。手すりや背かご等の物理的な防護措置は、ヒューマンエラーによる事故のリスクを大幅に低減します。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. リスクアセスメント

はしご作業の危険性を事前に特定・評価し、適切な安全対策を講じます。

遵守を示す証拠 (例):
  • 高所作業における墜落・転落リスクの評価記録。
  • 適切なはしごの選定、手すりや背かごの設置を決定した文書。
  • 定期的なリスク評価の見直し記録。

2. はしごの選定と管理

作業に適した、安全基準を満たすはしごを整備し、管理します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 事業場内のはしごの管理台帳(種類、規格、点検日等)。
  • JIS規格等に適合したはしごの仕様書や購入記録。

3. 点検・保守の記録

全てのはしごが、常に安全な状態に維持されていることを保証します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 使用前点検、定期点検のチェックリストと実施記録。
  • 損傷、腐食、部品の欠損等の確認記録。
  • 不具合発見時の修繕・廃棄の記録。

4. 安全な設置状況(物理的証拠)

法令・基準に基づき、はしごが安全に設置・使用されていることを視覚的に証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 適切な設置角度(75度)や固定状況を示す写真。
  • 上端が60cm以上突出していることを示す写真。
  • 固定はしごに背かごが設置されている写真。
  • 昇降先に手すりが設置されている写真。

5. 安全作業手順書 (SOP)

安全な作業方法を明確に定め、全作業員がルールを理解し実践できるようにします。

遵守を示す証拠 (例):
  • はしごの選定、点検、設置、昇降に関する手順書。
  • 3点支持の維持など、安全な使用方法の明記。
  • 墜落制止用器具の使用手順(必要な場合)。

6. 教育・訓練の記録

労働者がはしごの危険性を理解し、安全に使用する技能を有することを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • はしごの安全使用に関する教育の実施記録。
  • 高所作業の特別教育の修了記録(該当する場合)。
  • 訓練教材、参加者名簿、理解度テストの結果。

7. 保護具の着用管理

作業床が設置できない高所作業等で、墜落制止用器具を適切に管理・使用します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 墜落制止用器具の管理台帳、点検記録。
  • 保護具の使用に関する教育記録。
  • 作業員が適切に保護具を使用している写真。

8. 労使による改善活動

現場の声を反映し、継続的に安全性を向上させる仕組みを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会ではしご作業の安全性を議題とした議事録。
  • ヒヤリハット報告や従業員からの改善提案と、それに対する対応記録。
  • 内部安全パトロールの報告書と是正措置の記録。

体系的な管理による墜落・転落災害の防止

はしごの安全は、単に良いはしごを用意するだけでは確保できません。リスクアセスメントに基づき、適切なはしごを選定・設置し、その状態を定期的に点検・保守し、正しい使用方法を教育するという一連のプロセスを体系的に管理することが、墜落・転落災害を確実に防止する鍵となります。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

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JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

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