JASTI 5-22 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。
JASTI 5-22 原文
工場は、労働事故の発生を予防するため、工場所在地の法令に従い、安全 衛生推進者、または安全管理者、衛生管理者を選任し、従業員教育を実施 しなくてはならない。 注:日本においては、安全衛生推進者の選任については 10 人未満の場合、 安全管理者・衛生管理者の選任については 50 人未満の場合、義務ではな い。
達成すべきコミットメント
「私たちは、労働事故の発生を予防するため、事業場所在地の法令に従い、安全衛生推進者、または安全管理者、衛生管理者を選任し、労働者等教育を実施します。」
補足説明:法的根拠
労働安全衛生法:事業場の規模や業種に応じて、安全衛生管理体制の構築を義務付けています。これには、資格を持つ専門スタッフの選任と、労働者への継続的な安全衛生教育の実施が含まれます。
- 50人以上の事業場:安全管理者(指定業種)と衛生管理者の選任、および労働基準監督署への届出が義務。
- 10〜49人の事業場:安全衛生推進者または衛生推進者の選任が義務。
コミットメント達成の意義
労働災害の予防は、個々の対策の寄せ集めでは実現できません。専門知識を持つ担当者を選任して「体制」を整え、全ての労働者に安全衛生教育を実施して「意識と知識」を高めること。この両輪が揃って初めて、実効性のある安全文化が醸成され、事故を未然に防ぐことが可能になります。
遵守を裏付ける証拠をカテゴリー別に整理
1. 安全・衛生管理者選任届
50人以上の事業場で、法令に基づき専門管理者を選任し、行政に届け出ていることを示す最重要証拠です。
- 労働基準監督署の受付印が押された選任報告書(様式第3号等)の控え。
- 選任された担当者の辞令の写し。
2. 安全衛生推進者の選任
10人〜49人の事業場で、安全衛生管理を担当する推進者を選任していることを証明します。
- 安全衛生推進者または衛生推進者の選任辞令。
- 選任した旨を事業場内に掲示等で周知した記録。
- 推進者の資格を証明する研修修了証の写し。
3. 雇入れ時等安全衛生教育
全ての労働者に対し、業務の危険性や安全作業方法に関する基本的な教育を実施したことを示します。
- 雇入れ時・作業内容変更時教育の実施記録。
- 法定項目を網羅したカリキュラムと使用教材。
- 参加者リスト(自筆署名付き)。
4. 特別教育の実施記録
特定の危険有害業務について、法定の専門教育を実施していることを証明します。
- アーク溶接、低圧電気取扱業務等の特別教育の実施記録。
- カ
重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ
JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。
当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修)で、合計7度ファシリテーターを務めました。
JASTI監査に向けたコンサルティングは、私どもHCDコンサルティングにお任せください。