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JASTI 5-4-3 遵守の証拠

JASTI 5-4-3 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-4-3 原文

工場は、工場所在地の法令に従い、フォークリフトなどの機器を使用する エリアにおいては、(目立つ色の線などで)ほかの区域と明確に区分け し、立入禁止などの注意表示を掲示しなくてはならない。

達成すべきコミットメント

「私たちは、事業場所在地の法令に従い、フォークリフトなどの機器を使用するエリアにおいては、(目立つ色の線などで)ほかの区域と明確に区分けし、立入禁止などの注意表示を掲示します。」

補足説明:法的根拠

労働安全衛生規則 第151条の3:事業者に「フォークリフト作業計画書」の作成を義務付け、その中で運行経路や立入禁止箇所、標識の設置を定める必要があります。

同 第151条の8:フォークリフトとの接触による危険がある箇所への労働者の立入禁止を原則として義務付けています。区域区分や表示は、この措置を具体化する手段です。

コミットメント達成の意義

フォークリフトと歩行者の接触事故は、重篤な労働災害に繋がりやすい重大なリスクです。作業エリアを明確に区分し、注意を喚起することは、これらの災害を未然に防ぎ、全ての従業員が安心して働ける職場環境を構築するための基本的な安全対策です。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. フォークリフト作業計画書

安全対策が計画的に行われていることを示す、法令で義務付けられた最重要文書です。

遵守を示す証拠 (例):
  • 運行経路、立入禁止箇所、標識設置位置を明記した図面。
  • 作業方法、作業指揮者の氏名が記載された計画書。
  • 定期的な見直し・更新の記録。

2. 明確な区域区分(物理的)

計画された安全対策が、現場で物理的に実現されていることを視覚的に示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 床に引かれた目立つ色の線(トラテープ等)の写真。
  • 歩行者通路とフォークリフト通路が区分けされている写真。
  • ガードレールやポール等の物理的な障壁の写真。

3. 注意・警告表示

労働者に危険を知らせ、安全な行動を促すための具体的な指示を提示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 「立入禁止」「フォークリフト作業中」等の警告標識の写真。
  • 交差点や死角に設置された注意喚起表示の写真。
  • 必要に応じた多言語表示の標識。

4. 点検・監査の記録

安全対策が継続的に維持され、改善されていることを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 定期的な安全パトロールのチェックリストと報告書。
  • 床面マーキングや標識の視認性・完全性の点検記録。
  • 指摘事項に対する是正措置計画書と完了報告。

5. 教育と周知

全ての関係者が安全ルールを理解し、遵守する能力があることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • フォークリフト作業計画に関する周知・教育の記録。
  • 区域区分や標識の意味に関する研修記録と受講者名簿。
  • フォークリフト運転者の資格(修了証)の管理記録。

6. インシデント・ヒヤリハット報告

事故やニアミスから学び、再発防止に繋げる体制を示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • フォークリフトと歩行者の接触に関するインシデント/ニアミス報告書。
  • 原因分析と、それに基づく具体的な再発防止策の記録。

7. 労使による協議

現場の声を反映し、継続的に安全性を向上させる仕組みを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会でフォークリフトの安全対策を議題とした議事録。
  • 従業員からの改善提案と、それに対する対応記録。

8. サイトレイアウト計画

安全対策が工場全体の空間計画に統合されていることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • フォークリフトの運行ゾーン、歩行者通路、立入禁止区域が示された施設全体の最新レイアウト図。

体系的な管理による接触災害の防止

フォークリフトとの接触災害防止は、単に線を引くだけでは達成できません。作業計画に基づき、物理的な区分けと表示を行い、それを継続的に点検・維持し、全従業員に教育するという一連のプロセスを体系的に管理することが、真に安全な職場環境を実現する鍵となります。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ

JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

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