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JASTI 5-5 遵守の証拠

JASTI 5-5 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-5 原文

工場は、漏電や感電のリスクを回避するため、工場所在地の法令に従い、 配線設備を安全に管理しなくてはならない。分電盤には危険である旨の表 示を行い、前面 1m 以内には物を置いてはならない。また、感電や漏電を 防止するため、ラバーマットを敷くことが望ましい。

達成すべきコミットメント

「私たちは、漏電や感電のリスクを回避するため、事業場所在地の法令に従い、配線設備を安全に管理します。分電盤には危険である旨の表示を行い、前面1m以内には物を置きません。また、感電や漏電を防止するため、可能な限りラバーマットを敷きます。」

補足説明:法的根拠

電気事業法:事業用電気工作物の設置者に対し、保安規程の作成・届出や電気主任技術者の選任を義務付けています。

労働安全衛生規則:充電部の防護、漏電遮断器の設置、定期点検、低圧電気取扱者への特別教育など、労働災害防止のための具体的な措置を定めています。

電気設備技術基準:高圧電気設備への危険表示などを要求しています。

コミットメント達成の意義

電気設備に起因する感電や火災は、人命に関わる重大な災害です。法令に基づき、配線設備の適切な管理、危険の明示、安全な作業スペースの確保、そして防護具の設置を徹底することは、労働者の安全を守り、事業を安定的に継続させるための根幹をなす責務です。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. 保安体制と有資格者

法令に基づき、電気安全を管理する組織体制が確立されていることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 国に届け出た「保安規程」の写し。
  • 電気主任技術者の選任届出書の控え。
  • 電気工事士の免許証(写し)と管理台帳。

2. 安全教育の実施

電気を取り扱う作業員が、安全に作業するための知識と技能を持つことを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 低圧電気取扱業務特別教育の実施記録(3年間保存)。
  • 教育カリキュラム、使用したテキスト。
  • 受講者名簿と修了証の写し。

3. 定期点検と保守

電気設備が継続的に安全な状態に維持されていることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 電気設備定期点検記録簿(月次・年次)。
  • 絶縁抵抗、接地抵抗の測定記録。
  • 不具合発見時の修繕・是正措置の記録。

4. 漏電・過電流防止

工学的な対策により、感電や火災のリスクを根本から低減します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 漏電遮断器、配線用遮断器の設置状況写真。
  • 保護装置の仕様書、銘板の写真。
  • 漏電遮断器の定期的な動作試験記録。

5. 危険表示の掲示

作業員や訪問者に危険の存在を明確に知らせ、不注意による事故を防ぎます。

遵守を示す証拠 (例):
  • 分電盤に掲示された「危険」「感電注意」等の標識の写真。
  • JIS規格に準拠した安全標識の使用状況。
  • 標識の視認性を確認したパトロール記録。

6. 分電盤前の安全領域確保

緊急時の操作や日常の点検作業を安全・確実に行うための空間を確保します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 分電盤の前面に1m以上の空間が確保されていることを示す写真(メジャーを当てて)。
  • 床面に引かれた区画線(トラテープ等)の写真。
  • 障害物が置かれていないことを確認した安全パトロール記録。

7. 感電防止用保護具

万一の漏電に備え、作業者を守るための追加的な防護措置を講じます。

遵守を示す証拠 (例):
  • 分電盤の前にラバーマットが敷設されている写真。
  • ラバーマットの仕様書(耐電圧性能の証明)。
  • 絶縁用保護具の定期自主検査記録簿(6ヶ月毎)。

8. 継続的改善

安全管理体制が形骸化せず、常に改善されていることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会での電気安全に関する審議議事録。
  • 電気に関するヒヤリハット報告と対策記録。
  • 作業手順書(SOP)の更新履歴。

体系的な管理による電気災害の防止

電気設備の安全は、個別の対策の足し算では確保できません。保安体制の構築(Plan)、設備の整備と教育(Do)、定期的な点検(Check)、そして不具合の是正と改善(Act)というPDCAサイクルを体系的に回すことが、感電や火災といった重大災害を確実に防止する鍵となります。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ

JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

JASTI監査に向けたコンサルティングは、私どもHCDコンサルティングにお任せください。