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JASTI 5-6-2 遵守の証拠

JASTI 5-6-2 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-6-2 原文

消火器は有効期限内のものであり、圧力が正常な状態に維持されていなく てはならない。

達成すべきコミットメント

「私たちは、有効期限内の消火器を設置し、消火器の圧力を正常な状態に維持します。」

補足説明:法的根拠

消防法 第17条の3の3:防火対象物の関係者に対し、消防用設備等(消火器を含む)を定期的に有資格者に点検させ、その結果を消防署長等に報告することを義務付けています。

消防法施行規則:点検の具体的な内容、点検者の資格(消防設備士等)、報告書の様式(消火器具点検票)を定めています。

メーカーの指針:多くの業務用粉末消火器には、設計標準使用期限(例:製造から10年)が定められており、これも維持管理の重要な基準となります。

コミットメント達成の意義

火災は、発生初期の数分間の対応が被害の拡大を大きく左右します。いつでも確実に機能する消火器を適切に維持管理することは、従業員による初期消火を可能にし、人命と財産を守るための最も基本的かつ重要な防火対策です。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. 法定点検と公式報告

法令に基づく点検・報告義務を履行していることを示す、最も強力な証拠です。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消防用設備等点検結果報告書の控え(消防署の受理印があるもの)。
  • 点検者(消防設備士等)の資格情報が記載された一覧表。
  • 過去数年分の報告書(継続的なコンプライアンスの証明)。

2. 有効期限の管理

消火器が性能を保証された期間内で使用されていることを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消火器の管理台帳(製造年、設置場所、交換推奨時期を記載)。
  • 消火器具点検票に記載された製造年の記録。
  • 本体に表示された製造年が読み取れる写真。

3. 圧力の正常性維持

いつでも放射可能な状態に保たれていることを物理的・記録的に示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 圧力ゲージの針が正常範囲(緑色)にあることを示す写真。
  • 消火器具点検票に記載された圧力ゲージの確認記録。
  • 日常点検での圧力確認チェックリスト。

4. 適切な設置とアクセス確保

緊急時に誰でもすぐに使用できるよう、設置場所と環境を管理します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消火器の設置場所を示した配置図。
  • 周囲に障害物がなく、容易にアクセスできる状態の写真。
  • 「消火器」の標識が設置されている写真。
  • 床面から高さ1.5m以下に設置されていることの確認記録。

5. 点検済票(ラベル)の表示

適正な点検が実施されたことを現場で視覚的に証明し、管理レベルの高さを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 各消火器に貼付された有効な「点検済票」の写真。
  • 点検日、点検業者名が明確に読み取れること。

6. 是正措置の記録

点検で不備が発見された際に、速やかかつ適切に対応していることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 圧力低下、期限切れ等に対する是正措置計画書。
  • 消火器の交換や再充填の実施記録、請求書。
  • 措置完了後の確認記録。

7. 教育・訓練

従業員が消火器の場所と使い方を熟知していることを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消火器の設置場所、使用方法に関する安全衛生教育の記録。
  • 初期消火訓練の実施記録、参加者名簿。
  • 訓練風景の写真やビデオ。

8. 記録の一元管理

関連文書を体系的に管理し、いつでも追跡・検証できるようにします。

遵守を示す証拠 (例):
  • 「防火管理維持台帳」としてファイリングされた文書群。
  • 法定保存期間の遵守状況。

体系的な管理による実効性の確保

消火器の維持管理は、個別の点検作業の寄せ集めではありません。有資格者による法定点検を確実に実施し、その結果を消防署へ報告し、日々の管理と従業員への教育を組み合わせることで、初めて「いつでも使える」実効性のある防火体制が構築されます。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ

JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

JASTI監査に向けたコンサルティングは、私どもHCDコンサルティングにお任せください。