JASTI 5-6-6 遵守の証拠

JASTI 5-6-6 の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-6-6 原文

工場は、工場所在地の法令に従い、消防設備(火災報知器、自動火災警報 設備、消火器)を点検し、タグなどによって記録を表示しなくてはならな い。 注:日本においては、表示義務がないため、タグなどによる記録の表示は 不要。

達成すべきコミットメント

「私たちは、事業場所在地の法令に従い、消防設備(火災報知器、自動火災警報設備、消火器)を点検し、タグなどによって記録を表示するように努めます。」

補足説明:法的根拠と努力義務

消防法 第17条の3の3:消防設備の定期的な点検と消防署への報告を義務付けています。これがコミットメントの根幹です。

「タグなどによって記録を表示するように努めます」:これは法令の努力義務を超え、点検状況の透明性を高め、誰の目にも安全管理状況がわかるようにする積極的な姿勢を示すものです。「点検済表示制度」の活用が具体的な実践方法となります。

コミットメント達成の意義

定期的な点検は、消防設備が「いざという時に確実に機能する」ことを保証する命綱です。さらに、点検記録をタグ等で表示することは、管理の透明性を示し、従業員や来訪者に安心感を与え、組織全体の安全文化を向上させる効果があります。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. 法定点検報告書(公式証明)

法令に基づく点検・報告義務を履行していることを示す、最も強力な証拠です。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消防用設備等点検結果報告書の控え(消防署の受理印があるもの)。
  • 点検者(消防設備士等)の資格情報が記載された一覧表。
  • 過去数年分の報告書(継続的なコンプライアンスの証明)。

2. 点検済票(タグ)による表示

点検状況を現場で視覚的に明示し、管理の透明性と高い安全意識を示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 各消防設備に貼付された有効な「点検済票」の写真。
  • 点検日、点検業者名、次回点検時期が明確に読み取れること。
  • 「点検済表示制度」の活用によるベストプラクティス。

3. 消火器の機能維持

消火器がいつでも放射可能で、有効期限内であることを具体的に証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消火器具点検票の記録(圧力、製造年、外観等)。
  • 圧力ゲージが正常範囲にあることを示す写真。
  • 製造年が設計標準使用期限(例:10年)内であることの確認記録。

4. 火災報知器の機能維持

火災報知器が火災を早期に検知し、確実に警報を発する機能を維持していることを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 自動火災報知設備点検票の記録。
  • 感知器の作動試験、受信機の機能確認の記録。
  • 寮の住警器の作動確認や電池交換の記録。

5. 是正措置と維持管理

点検で発見された不備を放置せず、速やかかつ適切に対応する体制を示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 点検結果に基づく改修計画書・完了報告書。
  • 期限切れ消火器の交換や故障感知器の修理記録。
  • 内部安全パトロールでの指摘と改善記録。

6. 労使による改善活動

現場の声を反映し、組織全体で防火管理体制を向上させる仕組みを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会で消防設備点検の結果を議題とした議事録。
  • 従業員からの改善提案と対応記録。

体系的な管理による実効性の確保

消防設備の点検は、個別の活動の寄せ集めでは意味がありません。有資格者による法定点検を確実に実施し、その結果を消防署へ報告し、日々の内部管理と従業員への教育を組み合わせることで、初めて「いつでも使える」実効性のある防火体制が構築されます。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

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JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

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