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JASTI 5-7-1 遵守の証拠

JASTI 5-7-1の遵守を、どのような証拠をもって示せばいいか、簡単にまとめます。

JASTI 5-7-1 原文

工場は、工場所在地の法令に従い、誘導灯又は誘導標識を掲示しなければ ならない。

達成すべきコミットメント

「私たちは、事業場所在地の法令に従い、誘導灯又は誘導標識を掲示します。」

補足説明:法的根拠

消防法・消防法施行令 第26条:火災発生時の円滑な避難のため、避難口および避難経路への誘導灯・誘導標識の設置を義務付けています。

同 第17条の3の3:設置された誘導灯等の消防用設備を定期的に点検し、消防署へ報告する義務を定めています。

非常電源の確保:停電時にも最低20分(大規模施設等は60分)点灯し続ける能力が求められます。

コミットメント達成の意義

火災や停電といった緊急時に、パニックに陥った人々を安全な場所へ導く「命の道しるべ」です。適切に設置・維持された誘導灯は、迅速かつ確実な避難を可能にし、人命を守るための最後の砦となります。

遵守を裏付ける証拠ポートフォリオ

1. 公式な設置・検査証明

設備が法令基準に適合していることを、規制当局が公式に認めた「ゴールドスタンダード」の証拠です。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消防用設備等検査済証の原本または写し。
  • 消防署が承認した、誘導灯の配置・等級がわかる設備図面。
  • 建築確認済証・検査済証。

2. 法定点検と公式報告

設備の機能が、有資格者により定期的に点検・報告されていることを証明します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 消防用設備等点検結果報告書の控え(消防署の受理印があるもの)。
  • 誘導灯及び誘導標識点検票(様式第24)。
  • 過去数年分の報告書(継続的なコンプライアンスの証明)。

3. 物理的な設置状況

計画や記録が、現場で正しく実現されていることを視覚的に示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 避難口や通路に設置された誘導灯・標識の日付入り写真。
  • 表示面が清潔で、障害物がない状態の写真。
  • 点検済票(タグ)が貼付された設備の写真。

4. 非常時機能の維持

停電時でも確実に機能することを保証する、継続的な管理体制を示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 非常電源への自動切替機能の点検記録。
  • 規定時間(20分/60分)の点灯継続能力の検証記録。
  • 内蔵バッテリーの交換計画と実施記録。

5. 避難経路図の掲示

労働者や来訪者が、自身の現在地と避難経路をいつでも確認できる状態を確保します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 各階の見やすい場所に掲示された避難経路図の写真。
  • 「現在地」が明確に表示されていること。
  • 誘導灯や消火器の位置が図面に反映されていること。

6. 労使による改善活動

現場の声を反映し、組織全体で避難体制を向上させる仕組みを示します。

遵守を示す証拠 (例):
  • 安全衛生委員会で誘導灯の設置状況や点検結果を議題とした議事録。
  • 避難訓練後のレビュー議事録と、それに基づく改善計画。

体系的な管理による実効性の確保

誘導灯の設置と管理は、個別の活動の寄せ集めでは意味がありません。設計段階の法的適合性、有資格者による定期点検、そして避難訓練による実効性の検証を組み合わせることで、初めて「いつでも頼れる」避難誘導体制が構築されます。

重要な注意点
ここで挙げる証拠は、遵守を示すための具体例です。しかし、これらを全て揃えなくとも十分に遵守を証明又は疎明できることもあります。それは御社の状況次第、そして監査の判定基準次第です。 詳しくは私どもHCDコンサルティングにお尋ねください。

JASTI監査対策のご相談は、私どもHCDコンサルティングへ

JASTIは、中小企業等が最低限遵守すべき事項を社会人権面を中心に網羅した監査要求事項・評価基準から成り、ILO(国際労働機関)中核的労働基準を含みます。

当事務所代表は、全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修(ILO駐日事務所の技術協力で構築された研修で、合計7度ファシリテーターを務めました。

JASTI監査に向けたコンサルティングは、私どもHCDコンサルティングにお任せください。