「ビジネスと人権」に力を入れています

私たちHCDコンサルティングは、パーパスとして「Human Centered Design(人間中心の制度設計)によるHuman Capital Development(人的資本開発)推進で、労働者福祉と中長期的な企業価値を向上させること」を掲げる社会保険労務士事務所です。

パーパス実現には、ビジネスと人権(Business and Human Rights ; BHR)が不可欠です。当事務所では、「ビジネスと人権」に取り組む必要性とプロセスを学ぶための「ビジネスと人権」入門セミナーに力を入れています。

講師・ファシリテーター実績

「ビジネスと人権」入門セミナーなど「ビジネスと人権」関連のセミナーや研修で、講師・ファシリテーターを務めた実績です。

日付場所時間聴衆
2024/4/15三重県経営者協会特別講演会講師@プラザ洞津1時間50人
2024/2/22東証スタンダード上場某社 部長級以上ESG研修講師@Zoom2時間30人
2023/
12/12~13
全国社会保険労務士会連合会研修 ファシリテーター
大阪府社会保険労務士会会館会議室(大阪市)
6時間/日
× 2日
25人
2023/
12/1~2
全国社会保険労務士会連合会研修 ファシリテーター
愛知県社会保険労務士会会館大会議室(名古屋市)
6時間/日
× 2日
24人
2023/
11/17~18
全国社会保険労務士会連合会研修 ファシリテーター
@岡山第一セントラルビル2号館8階会議室「Ivy」
6時間/日
× 2日
19人
2023/9/23三重県社会保険労務士会研修 講師@三重県教育文化会館(津市)3時間20人
2023/7/6伊賀市人権学習企業等連絡会 講師@ゆめポリスセンター大会議室40分40人
全国社会保険労務士会連合会の研修では、ILO(国際労働機関)駐日事務所の方々と協働し、研修の運営に当たりました。

「ビジネスと人権」関連の資格・役職

当事務所代表の、「ビジネスと人権」や人的資本経営に関する資格・役職です。

資格・役職
2024全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」部会委員
2023ISO 30414(人的資本開示国際標準) リードコンサルタント/アセッサー
2023全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」研修ファシリテーター
2023全国社会保険労務士会連合会「ビジネスと人権」(BHR)推進社労士

三重県社会保険労務士会会員番号567 全国社会保険労務士会連合会登録番号24200003

2023年以降はコロナ禍も収束に向かい、意見交換会などで、外務省、経済産業省、グローバルコンパクトネットワークジャパンの「ビジネスと人権」担当者と面識もできました。

「ビジネスと人権」とは?
人権DD(人権デューディリジェンス)とは?

「ビジネスと人権」を一言で言うと、人権尊重の国際的枠組みです。この枠組みは、2011年に国連が採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」が規定していて、次の3本の柱で構成されています。

図の引用元:ILOリーフレット「ビジネスと人権」と責任ある企業行動

「ビジネスと人権」の枠組みでは、企業に人権尊重責任が課されます。尊重すべき人権は、各人が思い描く人権ではなく「国際的に認められた人権」です。

「ビジネスと人権」のプロセスは、実行するのが大変

ビジネスと人権に関する指導原則(以下、指導原則)」は、企業が「国際的に認められた人権」を尊重するためのプロセスが定められています。具体的には以下の通りですが、かなり骨が折れます。一朝一夕にはとても実行できません。

(人権方針の策定と公開)人権尊重責任へのコミットメント
(人権DD)人権侵害リスクを特定・評価
(人権DD)人権侵害防止軽減
(人権DD)実効性評価
(人権DD)情報公開
(救済)人権侵害被害者への対処、苦情処理システムの整備

※上記のプロセスのうち、を人権DD(人権デューディリジェンス)と言います。

まず、では、5つの条件を満たしたうえで、「好みを捧げてでも、人権尊重責任を果たします」という約束を、全世界に向けて行わなければなりません。これが大変です。

また、 では、実際に被害者に利用されて機能するような苦情処理システムの整備が求められます。しかし、多くの企業のハラスメント窓口が、被害者に利用されずに機能不全を起こしているように、日本企業の多くは苦情処理システムの整備がなかなかできません。

人権リスクを特定評価」では、人権侵害リスクのリスクの大きさを評価することが求められます。

そして「人権侵害防止軽減」では、リスクの大きいものから順に取り組むというリスクベースアプローチが求められます。

の実効性評価と情報公開は、定期的に、できれば1年に一度、実行する必要があります。

また、各ステップを通じて、ステークホルダーエンゲージメントが必要かつ重要ですが、これも大変です。

「ビジネスと人権」の人権尊重責任の範囲は、とても広い

「ビジネスと人権」で尊重することを求められる「国際的に認められた人権」は、その一つ一つの人権の定義が、日本の国内法での定義よりも広い意味合いになっています。

また、「ビジネスと人権」における人権尊重責任の対象は、サプライチェーン(バリューチェーン)全体です。

ビジネスと人権国内法遵守
尊重すべき人権の定義とても広い比較的狭い
人権侵害の責任を負う範囲自社・取引関係で繋がる企業
(サプライチェーン全体)
(バリューチェーン全体)
自社のみ

そのため、「ビジネスと人権」に取り組んで人権DDを実施する企業は、取引先に対しても、「ビジネスと人権」に取り組んで人権DDを実施するよう強い要請を行うようになっています。

「ビジネスと人権」に取り組む必要性は、どんどん増している

「ビジネスと人権」は、日本では今のところ法律上の義務ではなく、きちんと実行するのは大変です。特に人権DDのプロセスは骨が折れます。

この状況だと、よほどのことがない限り、「ビジネスと人権」に取り組む企業はごく一部に限られるはずです。

しかし、実際には、「ビジネスと人権」に取り組む企業が急増しています。

これは、「ビジネスと人権」に取り組む必要性が、年々大きくなっているからです。

前述のように、法律上は取り組む必要がないわけですが、法律以外の部分で「ビジネスと人権」に取り組む必要性が高まっているんです。

「ビジネスと人権」への取り組みは、一朝一夕では実行不可能

「ビジネスと人権」の取り組みは、思い立って直ぐにできるようなものではありません。

「ビジネスと人権は早めの準備が必要です。

「ビジネスと人権」入門セミナー

当事務所では、「ビジネスと人権」に取り組む必要性について腹落ちしていただき、「ビジネスと人権」の各プロセスの概略を学ぶ「ビジネスと人権」入門セミナーを提供しています。

「ビジネスと人権」・人権DDの必要性 1
取組を怠ると売上喪失の大ピンチに

そのため、「ビジネスと人権」に取り組んで人権DDを実施する企業は、取引先に対しても、「ビジネスと人権」に取り組んで人権DDを実施するよう強い要請を行うようになっています。そして、いつまでもこの要請にこたえられない取引先に対しては、取引関係を打ち切ります。

ビジネスと人権に取り組むのは大変ですが、だからと言っていつまでも着手せずにいると、長年の顧客をある日突然失うことになりかねません。

愛知県名古屋市近郊の中小企業(製造業)が大ピンチに陥った事例

名古屋市から1時間余り、愛知県豊川市にある株式会社ヤマグチマイカ(マイカ製造業)は、実際にそのような危機に陥りました。

2015年のある日、株式会社ヤマグチマイカは、顧客から突然に、人権DDのほんの一部(「児童労働への不関与」の証明)を実行することを求められました。

しかし、ヤマグチマイカは準備を怠っていたため、人権DDを実行する能力はありませんでした。

2015年に顧客である欧州の大手化粧品メーカーが、インドの鉱山における児童労働に関する人権問題を提起した。これにより同社は、児童労働に関与していないことの証明として、インドのマイカ鉱山および工場における第三者機関の監査結果の提出が求められることとなった。何の前触れもなく寝耳に水のことであったが、すぐに多くの大手化粧品会社がその動きに追随した。同社の山口卓巳社長は、事業継続のためには業界の要求に応じる必要があると判断したが、社内には人権に関する監査の知識がなく、何から着手すれば良いのか分からない状況だった。

中小企業庁:2022年版「中小企業白書」 第4節 中小企業が対応を迫られる外部環境 事例2-2-22:株式会社ヤマグチマイカ

つまり、ヤマグチマイカは顧客からの要求に全く応じられないという大ピンチに陥ったわけです。

無用なリスクを背負わぬためにも、顧客から要請される前に、人権DDを実施しておくべきです。

今や人権DDは企業の経営リスクマネジメントとして必須であり、BCP(Business Contingency Plan , 事業継続計画)の一部として実施すべきものでもあります。

人権DDの義務を企業に課すのは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」だけではありません。

欧米では、人権DD実施を企業に義務づける国内法等の制度が、次々に作られています。

日本政府も、遅ればせながら欧米に追随し、企業に人権DD実施義務を課す動きを加速させています。

コンプラ意識の高い企業が、人権DDを実施していない取引先(中小企業含む)に対して、取引停止をちらつかせながら人権DDを実施するよう強く迫るケースは、ますます増加します。

今や、人権DD(人権デューディリジェンス)の実施は、全ての企業にとって必須であり、即時着手すべきものなのです。

同業他社に先行して取り組むことで、既存顧客の維持と見込客開拓に成功

「人権DD(人権デューディリジェンス)はコンプラとしての義務。経営リスクマネジメントとしても必須。やることが多くて大変だけど取り組まなきゃ‥」

確かにそうなんですが、「やらねば不味い」という義務感だけでは、人権DDは負担でしかなくなります。それではもったいないです。

実は、人権DDに着手することで、大きなメリットがあるのです。

先ほど、準備を怠っていたため大ピンチに陥ったヤマグチマイカ社ですが、これをきっかけに、企業経営に必要な人権関連情報の収集や学習に取り組み始めました。

現在では毎年人権DDを行い、その報告書をウェブサイトに掲載しています。

その結果、次のような好ましい状況となり、中小企業白書に好事例として取り上げられるにいたったわけです。

▶先行して「責任ある調達」に取り組み、アドバンテージを獲得

(人権DDの一部である)「責任ある調達」への同社の取組は、化粧品業界以外の顧客や取引先企業から理解が得られ、問題意識を共有することができた。過去に取引がなかったものの、直接的・間接的にマイカを使用している企業からの問い合わせも増えており、将来的な需要拡大に手応えを得ている。人権への取組を含んだCSR活動の詳細を積極的に情報公開していることへの対外的な評価は高く、取引先との関係強化につながっている。「責任ある調達をしていない企業は、将来的に事業を存続できなくなることもあり得る。国内外にあるマイカ製造の競合相手に対して先行アドバンテージを得ることができた。」と山口社長は語る。

中小企業庁:2022年版「中小企業白書」 第4節 中小企業が対応を迫られる外部環境 事例2-2-22:株式会社ヤマグチマイカ

ヤマグチマイカは、上記引用部分のように大きな先行者利益を得ています。

人権DDの実施は、単なるリスクマネジメントにとどまらず、営業面からも会社に多大な好影響をもたらすのです。

「ビジネスと人権」・人権DDの必要性 2
採用/定着/育成にも大きなメリット

「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇(あだ)は敵なり

これは武田信玄の言葉であり、人的資本経営における黄金律です。

このうち最も重要なのは「情けは味方、仇(あだ)は敵なり」です。

仇が存在したままでは、「人は城、人は石垣、人は堀」など夢のまた夢。

人権DDの実施などで、社内や取引先における人権侵害を可能な限り少なくし、「仇(あだ)は敵なり」という状況をなくすことに最優先で取り組むべきです。

それが出来れば、「情けは味方」の状況が自然に生まれ、「人は城、人は石垣、人は堀」となりうる人材の採用/定着/育成につながります。

アメリカでは企業価値の9割を無形資産が占めています。

企業価値の源泉は、有形資産から無形資産に変わった」と言っても過言ではありません。

無形資産の源泉たる人的資本が、今後ますます重視されることは確実です。

人権DDなどによって人権侵害リスクを可能な限り小さくして、労働者の心理的安全性を確保することは、ますます重要なものになります。

「ビジネスと人権」日記

人権DD以外の取扱業務案内

社労士診断認証制度は、企業の人事労務コンプライアンス水準について、社労士が「適合企業」認証を与える制度です。「適合企業」はホワイト企業のお墨付きであり、ハローワークでの求人でもその旨がはっきりと表示されます。

人権デューデリジェンスや人事労務コンプライアンスで土台を整えたら、人的資本を定量的に把握して課題を定め、従業員のライフプラン・キャリアプランに寄り添いつつ、エンゲージメント向上と人的資本充実を図ります。